ぶぢょうほう
あらら みずかげもうして とんだ ぶぢょうほうしした どうぞ ごめんなしてくない いやいや どういだしして たんと ごっつぉになりした さげは ぶぢょほうなほうで もうは おがめぇーなぐ もひとつ いいんでがいんか |
あらら 水をかけてしまって とんだご失礼をしました どうぞお許しください いやいや どういたしまして たくさんご馳走になりました 酒は飲めないほうで もうお構いなく もう一つ いいじゃないですか |
「ぶぢょうほう」は不調法の訛り で「ぶぢょほ」ともいいました。 失礼、無作法、過失、不体裁、不 始末などの意味で使いました。 また芸事や酒をたしなまない事を 言う場合にも用いられました。 後者は仙台独自の使い方だと思い ます。 この言葉は山形県、岩手県でも使 われています。 |
戦前は舗装道路が少なく、乾いて風のある日には砂埃が舞いあがりました。そ
んな時道路沿いの家ではバケツに水を汲んで柄杓で散水する風景が見られます。
時には過って通行人にかけてしまうこともありました。かけた人は慌てて不調法
を詫び、許しを請います。「ごめんなしてくない」は「ご免」に「なして」(な
さって)と「くない」(ください)が付いた謝罪の言葉です。
ぶぢょうほうな人は宴会が苦手です。酒は飲めないし、芸事を所望されても応
えられません。ひ
たすら「ぶぢょうほうで」と頭を下げるのでした。