いさばや
リヤカーひいた いさばやさん きょうは とれたて サバうりに しめサバ やきサバ みそにサバ なんにしても うまがすつぉ いきなはちまき いさばやさん きょうのイワシ みでけさいん さしみに すりみに しおやきに かってけさいん まげっから かごをせおった いさばやさん きょうは マガレイ どうでがす こっちの コエビも うめぇでば いぎいいがら みでみさいん |
リヤカー引いた 魚屋さん きょうは獲れたて サバ売りに しめ鯖、焼きサバ、味噌煮サバ どうやっても うまいですよ いきな鉢巻き 魚屋さん きょうのイワシ 見てください 刺し身に、すり身に、塩焼きに 買ってください おまけするから 籠を背負った 魚屋さん きょうは マガレイいかがです こちらのコエビも うまいですよ 活きがいいから ご覧なさい |
「いさばや」は魚屋の ことで磯場屋から転じ たともいわれますが、 定説はないようです。 方言というよりは、か つて全国的に使われた 古語が地方に残った例 でしょう。 仙台でも町中よりは郊 外で多く使われていま した。 |
戦前は店を構えている魚屋さんのほかに行商の魚売りがたくさんいました。リ
ヤカーに数種類の魚を積んでくるもの、自転車で一種類だけを持ってくる人など
いろいろでした。中でも懐かしく印象に残っているのは、籠を背負った行商のお
ばさんたちです。
仙台市を流れる名取川の河口に、漁業で栄えた閖上(ゆりあげ)という町があ
り、近海もののカレイ漁が盛んでした。漁師のおかみさん達が、水揚げされたば
かりの新鮮なカレイや一塩カレイ、焼きカレイなどを大きな背負い籠に入れて、
仙台の町まで売りに来るのでした。
その背負い籠は竹で編んだ縦長のもので、中が何段にも仕切られ、仕切り毎に
種類が異なる商品を入れる仕掛けになっていました。朝ご飯前には商売を始めて
いましたから、日の短い季節には夜明け前に家を出て、町まで8キロメートルほ
どの道のりを重い荷物を背負ってきたのでしょう。昔の人は逞しかったですね。
カレイの種類はたくさんあります。子供のころ嬉しかったのは「金次郎カレイ
」を買った時です。このカレイは丈夫な皮を剥いで食べる珍しいものです。その
皮をお椀の縁に張ってもらって太鼓にして遊びました。