5月中旬の閑話


[TAKESIの部屋] [旬の話題] [仙台方言あそび] [閑話365日]


5月11日(金)ハンディキャップに優しい国か

寝ているうちに首を不自然に捻ったらしい。目覚めたら右の首筋が痛い。頭を左に傾けたり左を向こうとすると余計に痛むようだ。大した痛みではないからすぐ直るとは思うが、人間のからだはどこかに少しでも異常があると全体の動きがぎごちなくなる。

普段なら簡単に振り向く所だが首を捻らないように、からだ全体で方向転換しないといけない。まるでロボットのような動きである。指先をちょっと怪我しただけでも手全体の動きが制限される。ちょっとしたことだが誠に不自由である。

からだのどこかが不自由な方は生涯その不自由さと付き合わなければならないから大変である。五体満足の有難味を改めて感じる。目の不自由な方がバスに乗り空いている座席に座る。健常者なら何でもないその動作が目の不自由な方には何倍もの負担になっているのだろう。列車のホームからの転落死など痛ましい事故もなかなか根絶できないのは残念なことだ。

交通量が多い交差点では目の不自由な方のために音声による誘導装置が設置されているところもあるが、まだまだ数が少ないようだ。日本の交通機関で盲導犬や介助犬同伴で乗れる車両はあるのだろうか。阪急電鉄などごく一部でしか認められていないようである。しかもいろいろな規制があって利用者は少ないようである。交通機関が発達した日本であるがその点では日本は後進国である。


5月12日(土)飽食の愚

書斎の窓近くまで枝を伸ばしたコナラの若葉が美しい。濃い緑になる前のこの時期がいちばん美しいと思う。その葉から1cmほどの黄色い毛虫の幼虫と思われるものが数匹ぶら下がって風に揺れている。糸は見えないが葉から糸を垂らしているらしい。

生まれた集団からこうした方法で分散して行くのだろう。過密化を避けて各個体が存分に食料にありつけるように先祖から受け継いだ智慧なのだろう。今年は見えないがザイフリボクには別の毛虫が着く。蛾や蝶の幼虫は食べる木の葉が決まっているのだそうだ。アゲハチョウの仲間は柑橘類に産卵するようである。キアゲハやカラスアゲハがサンショウの木にやって来るのは、おそらく産卵のためであろう。

食い物で競合しないように食性を決めたのは神様かも知れないが、そのお蔭で多くの種が地球上に繁栄することができた。その最たるものが人間である。他の生物は限られたもので我慢しているのに、人間は貪欲でしかも雑食である。おまけに植物を栽培し動物を飼育し、大量にに捕獲する術を身につけた。

そのことは人類に計り知れぬ幸をもたらしたが、一方で地球全体のバランスを危うくするまでに至っている。飽食による肥満で医者通いする人がいる一方で飢餓に苦しむ人が大勢いる。この呆れた現象を蝶たちはどう見ているのであろうか。


5月13日()臨時休刊


5月14日(月)腰痛

腰痛になった。一昨日買い物に出ての帰り道、余りの痛さに何回も立ち止まった。家にたどり着くまでの坂道が特にきつかった。腰痛の痛みを初めて知った。重症になると入院加療が必要になる。大分前のことだが友人が腰痛になって両足に重りをつけて引っ張り、身動きならない状態を見舞ったことがある。

自分がなって初めて傷みが尋常でないことを知った。何がきっかけで腰痛になったのか分からない。先日は右首筋が痛んで、それこそ首が回らなくなったが今度は腰に来た。運動不足で筋力が衰え腰の関節を支えきれなくなったのかもしれない。90歳近い年齢になれば身体のあちらこちらにガタが来るのは止むを得ないと思うが素人判断は危険だから専門医に聞いてみようと思う。


5月15日(火)末期物忘れ

腰の痛みが大分薄れた。一過性のものだったらしい。からだの不調より気がかりなのが物忘れの進行である。土曜日の閑話を休んだのも実はそのせいである。閑話の執筆をストンと忘れて、午後になるまで気付かなかった。

買いものに出て肝心のものを買い忘れることが多くなった。それを防ぐためにメモを持ち歩くようにしているが、そのメモを家に置き忘れることもある。そのために同じものをダブって買うことになる。腐らないものならいいが生鮮食品は困る。

食料品の無駄は冷蔵庫の過信にも原因がある。すぐ消費しないものはとりあえず冷蔵庫で保管する。冷蔵庫に入れたことで安心してしまい、その後の管理が疎かになって、結果的に食べ物を無駄にしてしまう。冷凍庫なら大丈夫かと言うと、何時買ったものやら分からないものが占拠している。という訳でこれもいずれ廃棄処分になる。冷蔵庫とは食べ物を保管するよりは駄目にして捨てる準備をする装置みたいなものだ


5月16日(水)梅干

梅の実が日々大きくなって目立つようになった。南高梅(なんこううめ)と言う種類で梅雨の最中に完熟する。紅を差した実は大きく種が小さいので梅干に最適だと言う。でも皮が薄くて破れやすく、機械による大量生産ができないので高値で取引されている。

梅干の歴史は古代に遡る。元々は梅酢を作った後の副産物でそれを黒焼きにして腹痛の治療、虫下し、解熱などに使われる漢方薬だった。平安時代には梅干と昆布茶が病の治療に用いられ、戦国時代には合戦による傷の治療、休息時に梅干を見ることで唾液分泌を促し脱水症状を防ぐ目的にも使われた。そのため戦略物資として注目され、武将たちが梅の植林を盛んに行い今も梅の産地となっているところが多い。

梅干の保存性はどのくらいあるのだろう。伝統的な製法で作られた梅干は土蔵のような温度変化が少ない環境に保存すれば100年前に作られたものでも食べられると言う。奈良県の中家に伝わる梅干は天正4年(1576年)に漬け込まれたものだそうだ。

物資が乏しい戦時中、梅干が一つ弁当の真ん中にポツンと入っているだけの「日の丸弁当」のお世話になった。幕の内弁当のご飯の上に梅干が載っているのはその名残であろうか。


5月17日(木)ツバメ

ツバメがいつの間にか仙台にも渡ってきた。、餌は主として飛んでいる小さな虫だから、虫の発生とツバメの渡りは深い関係があるに違いない。日本に来るツバメはどこから、どんなルートを通って元の営巣地へ迷わずに戻って来るのだろう。

商店街の軒下に毎年やって来るツバメが巣の補修に専念しているようだ。泥や藁くずを運んできてお椀を半分に切ったような形に仕上げている。巣が完成すれば産卵し雛を育て秋にはまた南国へ飛び立つのだろう。冬を越す場所は台湾、フィリピン、ボルネオ島北部、マレー半島、ジャワ島などである。

初夏にそれらの越冬地から日本にやって来るのだが、途中は海なので水鳥のように洋上で休むわけにもいかず飛び続けなければならない。ツバメがいかに飛行能力に優れていても不眠不休で飛び続けるのは難しいと思う。

ところがその難問を乗り越えるの能力をツバメは先天的に持っているのだと言う。それは「半球睡眠」と言う眠り方である。脳は左右に分かれている。ツバメは飛んでいる間もそのどちらかを必ず休ませていていることができる。だから飛行中も半分の冴えた頭で長距離飛行ができるのだそうだ。ツバメは徹夜して頭がぼーっとすると言うことはないのだろうな。


5月18日(金)〜19日(土)休刊


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