おまずね
あがんぼ こげで こぶできた ばあさん あわててだきおこし おお、よしよし そんまになおるよう おまずねすて あげっから ツツラポンポン コガネサラサラ いでどご いでどご てんじょのネズミもってげ ツツラポンポン コガネサラサラ プーッ いでどご ネズミさやったがら ほうら なおったすぺ おお、よしよし |
赤ちゃんが転んで こぶできた ばあさん 慌てて抱き起こし おお、よしよし すぐ治るよう お呪いしてあげるから ツツラポンポン コガネサラサラ 痛いとこ 痛いとこ 天井のネズミ持っていけ ツツラポンポン コガネサラサラ プーッ 痛いとこ ネズミにあげたから ほうら治ったでしょう おお、よしよし |
「おまずね」はお呪 い、「そんま」ある いは「そま」はすぐ とか、じきを意味す る副詞です。 お呪いの言葉の意味 は皆目不明。 「いでどご」は「痛 いところ」の訛りで す。 |
このお呪いの文句にはいろいろバリエーションがあるようですが、私が身近に
聞いたのはこれでした。子供が痛がっているところを手でさすり、この呪文を唱
えながら天井に向かって痛みを吹き飛ばすような仕種をしました。呪文の最後の
「プーッ」がそれです。
昔は家の中にネズミがたくさんいました。日中堂々と出てくることはありませ
んが、夜ともなれば天井でネズミの運動会が始まります。その「しぇづね」こと
ったらありません。天井の隙間から干からびた糞は落ちるし、台所のサツマイモ
はかじられるし、いやな同居人でした。